値引きの是非よりも企画・生産構造の見直しを

こんにちはDeepValley(ディープバレー)の増田です。

アパレル業界でも夏のセールが落ち着いてきましたね。

個人的にはこの時期に行われている半ば投げ売りの様になっている商品の中から自分の好きな物を宝探しの様に探すのが好きです。

さて、アパレル業界ではセール時に必ず起こる論争が、値引きを行う事に関しての是非です。

これは個人的な意見ですが、セールを行う事に対して別に肯定的ではないですし、その商品が適正価格であれば別に値下げする必要ないと思っています。

だからといって値引きを行うことがダメな事とも別に思っていません。

それは、今のアパレル業界の生産構造的にセールを無くすのは難しいと感じていること、もう一つは経営的に滞留在庫がある方が不健全だと考えるからです。

そもそも値引きはダメな事なのか?

ファッションブランドの多くは、値引きする事を前提に金額設定を行っています!

そんな風に何かの記事で書かれているのを見た事があります。

確かに値引きを前提にしているかどうかはともかく、プロパー(定価)消化率が何%で、損益分岐点を超えるから、何%まではプロパーで販売してと、そんな事を事細かにやってる企業なんてのは一部の企業だけではないでしょうか。

こんな事言うと怒られてしまうかもしれないですが、ほとんどのアパレルブランドは「原価率は30%前後が適正でしょ!」ってぐらいの大まかな計算で運営している様に思います。

「それがけしからんのだ!」と言うのは当然の話なので、その意見は一旦置いておきましょう。

自社ポイント、百貨店やファッションビル、ECプラットフォームによる合同SALE、といった様に値引きの施策は毎日の様に行われています。

出店しているブランド側としては、値引きに対する自社負担の割合云々を抜いたとしても、実際にプロパー価格で販売されている金額を把握している方が珍しいというか、無理だと思います。

仮に出来ているんだ!っていうブランドがあったとして、そんな状況の中で何百型もある商品をひとつひとつ分析しているなんて暇なのか?と言いたくなります。

また国内の多くのファッションビルなどに入居しているファッションブランドは大量生産・大量販売というビジネスモデルです。

こういったビジネスモデルはSALEでの消化も念頭に置いていることが当然であり、そう考えると値引きする事に対しての論争自体がナンセンスな事の様に感じます。

透明性と値引きは何の因果もない

値引きをするブランドと対比して、最近では米のエバーレーンの様な「透明性」を売りにするファッションブランドが引き合いに出される事があります。

エバーレーンが開示している情報(透明性)としては

・販売している洋服の原価や製造工場を公開

・材料費、縫製費、関税、輸送費の具体的な額を商品ページに掲載

・トラディッショナルリテール(従来の小売り)との価格も比較表示

・工場の場所や従業員の写真を公開

・工場の現時刻、天気、従業員数なども公開

などがあります。

しかし、この情報と値引きを非と考える事になんの関連性があるのでしょうか。

引き合いに出される方の意見としては

・100%の透明性というのは当たり前のサービス。

・人は自分が何を買っているかを知る権利がある。

・ブランドも自分たちの行いに本当に自信があるなら全てを明らかにする事に躊躇する理由は全く無いはず。

といった意見があるのですが、だから値引きがいけないと言う事に、やはりどういった関係性があるのかがわかりません。

情報を開示する取組み自体は素晴らしいし、最適な販売価格と徹底された透明性というのはブランドアイデンティティの一つであり、生産背景も違うファッションブランドがこの【最適な販売価格】【徹底された透明性】といった部分だけを切り取り真似ても効果はありませんし、比べる事のできるものではありません。

そんなことより生産構造を見直すべきではないでしょうか

ここまで前述した様に値引きを行う事に関して議論されている事の多くは論理的なものではない様に感じています。

他にもラグジュアリーブランドなどが対比に挙げられ、ブランド価値の毀損といった観点から論じられる事もありますが、多くの国内のファッションブランドとは販売方法・生産背景に比べる事のできない程の違いがあります。

国内のファッションブランドのほとんどは大量販売・大量生産です。

ブランド価値を守る為とSALEを行わないことも自由ですが、それでいてファミリーセールやフラッシュセールなどに展開しているのであれば、いっそのこと堂々とSALEをすればいいのではとおもいます。

ファーストリテイリングの柳井氏が言っていた言葉で、「ユーザーのニーズを理解し、研ぎ澄ませた商品だけを生産する」という言葉があります。

そんな風に考え抜いた結果、正常なプロパーの価格で販売するという礎になり、「セール前提の価格設定」が見直されるのではないでしょうか。

そのためには値引きの是非など販売方法を考えるよりも、まずは企画・生産構造を見直す事が最重要です、

今セールにかけられている多くの在庫は「ニーズを理解しきれずに生産された商品」です。

柳井氏の言葉の通り、企画精度を上げる事が「不良在庫」の削減になり、伴ってセールの規模も縮小にも繋がる様に僕は感じています。

しゅんたろう
About しゅんたろう 19 Articles
1986年生まれ。 マロニエファッションデザイン卒業後、OEM企業での企画営業を経てMARKSTYLER社に入社、営業/MDを経験後、新規ブランド開発部門にて部門長としてブランド開発を行う。 退職後、CLANE DESIGNの立ち上げに参画し、ブランドマネージャーとして従事 2017年より独立し、1Q86.LLCを設立。 アパレル企業を中心にマーケティング/営業代行、ブランドディレクションを受託。 2018年にはアパレル生産SaaSの[AYATORI]を運営するDeepValleyの創業にも参画し取締役に就任。

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