アパレル業界がIT投資をしない理由

DeepValley代表の深谷です。

多くのアパレル企業が2019年上期を終えようとしています。

今年の冷夏のおかげで夏物が売れないまま

7月のSALE時期(もっというとプレセールなど入れると6月の上旬から)

を迎えた影響で、在庫の消化や売上下方修正、

仕入れ予算や経費の削減をしなければいけないケースが多発するのではないでしょうか

そもそもの予算設定も悪かったりする

経験上アパレルブランドは『前年比105%-110%』を目標に売上を組まれたりします。

基本経済は成長する前提で作られてますし、出店させていただいている館(百貨店やファッションビル)からみても、年々顧客を獲得していく予定なので、それは右肩上がりで成長します。

ただ、昨今はそうはいきません。

D2Cブランドの立ち上げが容易になったことで売上シェアは奪い合われ

さらに韓国を中心とした新たなトレンドの波もアパレル全体で起きています。

(実はこれがメチャクチャにすごいことだと思ってるので、別途BLOGにしたい)

人口の低下が進む日本マーケットでは、年々売上を獲得するのが難しい現状です。

さらに外的要因としての異常気象。消費税アップと、、、現状維持すら難しい状況です。

そんな中、前年比110%の予算に対し前年比90%の着地というシナリオが現実に起きると

残在庫の多さや、経営インパクト、利益率の圧迫は言うまでもなく想像できると思います。

ブランドはまず何をするか?

まず在庫を換金したいので、SALEをして消化率を向上させようとします。

売上も落としたくないので、想定以上に単価を低下させ『客数』を稼ぎ売上をとります。

さらには、客単価も下げ過ぎないように『2点でさらに10%OFF』のような戦略も打ちます。

まずは作ってしまったものをお金に変えて、ちゃんと売れるものを作る為に立て直そう!

そんな想定をしています。

そうすると、売上や在庫は推移を保てても、利益は大幅に圧迫されます。

(厳密に言うと、PL上では在庫は利益に影響しないので、決算のタイミングまで資産で持ってしまう会社もいらっしゃったりします(この辺りは会計の話しなので詳細は別機会に))

そうするとその利益を元に戻す為に次は『費用』の削減を試みます。

費用は会計では『変動費』『固定費』というものに分けられますが、

今回は『投資』と『経費』といった言い回しをさせていただきます。

何を削減しますか?

もはやこの時点で前年比110%を獲得すること自体が難しい。

という現実にぶつかっているので差異分の経費は削減すべきでしょう。

そうすると、ネクストゴールが前年100%目指すことに変わることが多いので

『理想の形にする為になければならない費用』だけが経費として残ります。

CAC(顧客獲得単価)を計算できてる会社が少ない気がするので(実はこっちが問題?)

そもそも正しい削減ができているか?と言われると疑問が残りますが

上記のようになると『たとえマーケット上、正値であったとしても』

『売れてない不調ブランド』となってしまい『投資』なんてもってのほか!になってしまいます。

もうお気づきですよね?

上記のシミュレーションで、このブランドの客観店評価は

『在庫過多』『セール値引き』『前年割れ』『低利益/低賃金』など

アパレルを取り巻く良くない現象、全ての引き金になってしまう可能性があります。

こんなストーリーは至極想定しやすい現象なのです。

そうするとIT化やシステム改修などに資源(ヒト・モノ・カネ)が回らず

期初の4月に描いていたであろう新しい未来ではなく、現状維持しなければならず

結局トレンドに乗ったブランドだけが売上が上昇するので、アイテムとして同質化を招き

また売上を獲得できなくなりCAC(顧客獲得単価)が上昇するので利益を圧迫するという

サイクルを繰り返してしまいます。

『もったいない。。。!!』

私の素直な感想です。。。

本当に良いコンセプトのブランド、良いクリエイションを持ったデザイナーなどたくさん見てきましたが、『投資』をできなかったが故に、解散したブランドもたくさん見てきました。

たとえ『経費』は削ったとしても、未来を作る為の『投資』は削ってはいけません。

現実感のある予算組みを行い、正しく経営していけば『未来』はきっと作れます。

投資という特性上、売上にしてしまうとおかしくなる部分があるので

(前年●●%)の項目を外して考えてみてもらったり、会社全体で考えると当てはまると思います。

むしろ利益にした方が経営者的には腑に落ちるかもしれません。

世界がテクノロジーによってめまぐるしく変化する中

それについていけない企業が淘汰されることは時代が証明しています。

現実を冷静に見つつ、情熱を持って未来を創造しなければ

『消費者の購入意欲を掻き立てる』ようなクリエイションすら

削減されてしまうのではないでしょうか?

そんな未来こそ『もったいないなぁ』と思います。

アパレル業界がIT投資をしない理由※全ての企業に当てはまる訳ではないですし、そもそものリテラシー問題やアナログ文化など、様々な主因はありますし、売れてる会社さんをはじめ、未来を見据えてる会社さんもたくさんあるのを知ってるが故に、私から見た一つの目線の考え方としてお受け取りください。

深谷玲人
About 深谷玲人 11 Articles
株式会社DeepValley(ディープバレー) 代表取締役社長 深谷 玲人(Fukaya Reito)。 アパレル業界に10年経験があり、販売からMD、ブランド長まで経験したのち、ITベンチャー企業に転職し2年半、カスタマーサクセスとしてインサイドセールスのコンサルティングを実施、双方の経験を合わせ、アパレル業界に特化したIT企業として2018年5月に独立。アパレル生産特化システムの開発と、TokyoFashionTechnologyLabで講師を務める。

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