アパレルの在庫問題と改善について

こんにちは増田です。

アパレル業界で一番敏感な課題の一つが在庫問題ではないでしょうか。

これまでに有識者達もこぞって見解を述べ、幾多の分析もされてきている事かと思います。

それでもなくならないのは何故なんでしょう。

今日はそんな在庫問題について思うところを書いていきたいと思います。

ブランド側の在庫過多とは

在庫問題についての何か一つくらい記事を引用しようとも思いましたが、いっぱいありすぎたのでやめます。

気になる方は「アパレル 在庫」とかってGoogleで調べてもらうとたくさん記事が出てきますので検索してみてください。

さて、そういった記事を読んでいると、目にする言葉のひとつに「過剰在庫」という言葉があります。

ファッション業界で働いているとよく耳にする言葉ではありますが、ファッション業界の中でも小売側の出身の僕にはこの言葉があまり好きにはなれません。

その理由ですが、在庫として残る商品の要因としてその大半は見込み通りに売れず、需要を読み違えてしまった商品です。

中には商品を生産するために、メーカーから求められるミニマムロットをクリアする為、結果的に増産した様な商品もあるかもしれません。

それが過剰在庫って事じゃないのか?って思うかも知れません。

ですが、最初から販売機会ロスを懸念したり、ミニマムロットをクリアするために売れる見込みの無い数量を発注する様なことをされる方はいないかと思います。

結果的に在庫となってしまっている事に間違いはないのかもしれませんが、「過剰」という表現を使用する事で、全ての責任を発注した人間やそのブランドが押し付けられてしまっている様な気がしてしまいます。

その一方で、表現はどうあれ「生産ミニマム」「需要の読み違え」といった背景が在庫過多の一因となっていることは事実です。

ただ、それだけでは無いという事を伝えたいのです。

発注以前にも問題はあります。

アパレルに限らずでは無いのかもしれませんが、時代背景を鑑みれていない前年踏襲をするというやり方もこの問題の一因ではないでしょうか。

多くの国内アパレルブランドは日本国内に向けて商品を供給しています。

しかし、日本国内のアパレル消費の背景は人口減少、少子化、国内外からの競合激化と必ずしも全ての会社がプラス成長できる様な環境ではありません。

必ずしも前年を越える為の売上予算を組み、それに伴う仕入れ予算を組んでしまう事は危険です。

自分たちの現況を把握し、適正な売上予算・仕入予算を組む事が、問題を解決する為には必要であり、前述の様な発注を無くせる事になるのではないでしょうか。

メーカー側での在庫過多もある。

数多く取り上げられている在庫問題についてですが、その多くはブランド側、小売側についての記述が多いのですが、在庫問題に関しては何もブランド側、小売側だけの話ではありません。

ファッション業界というのは、他の産業と比べると、消費においてのトレンドの移り変わりのスピードが非常に速いです。

ここ最近だとスニーカーやワイドパンツといった数年間続いている様なビッグトレンドもありますが、ほとんどのトレンドは短絡的なものです。

その短絡的なトレンドを各ブランドは前シーズンの売れ筋や欧米のトレンドから予測して、毎年新商品として多いところでは数百型と発表し続けています。

その為、現在そういったブランドではQR(クイックレスポンス)と呼ばれる生産方法が主流になっています。

QRは、染色が終わった生地または糸があれば、発注から1-2週間で店頭に、海外生産でも中国で4週間程度、韓国のソウルやプサンであれば1週間以内に納品できる場合もあります。

その様な環境下でメーカー側でもODM生産での作り過ぎ、OEM生産でも取引形態によっては消化仕入れの場合と様々な理由で在庫を抱えてしまう事もあります。

さらに、いかなる状況下であっても、基本的に日本のモノ作りは総じて品質基準が厳しく設定されています。

仮に基準を満たさない商品は不良品(B品)として扱われて、一部アウトレットなどで販売されることはあっても、その多くは世の中に流通することはありません。

ブランドにより品質基準は異なり、独自で品質検査を行なったり、第三者機関を利用したりと様々ではありますが、検査結果が納品先の基準に満たない場合は、たとえ大量に生産した後であっても納品が許され無い事もあります。

そうして行き場を無くしてしまった商品をメーカー側が在庫として抱えてしまうケースもあります。

基準があるとはいえ、一連のやりとりの中でメーカーが「どこが不良なの?」「これくらい」と感じても、ブランド側に不良だと押し返される場面は多々あったりもします。

一見下請けいじめの様に見えてしまう事もありますが、こういったケースの多くはどちらが悪いと言うわけでもなく、大半はコミュニケーション不足によって生じてしまっている様に感じます。

ODMの作り過ぎというのはともかく、消化仕入れや納品の受取拒否などに関しては、コミュニケーションの方法を見直すだけでも問題は軽減されるのではと思います。

双方の積み重ねが大事

大量生産・大量消費問題に対しての消費者の関心は日に日に高まっています。 

だからこそ、ブランド・メーカーは市場を異常なほど飽和させてしまっていること、さらには自然にも悪影響を与えていることに対して当事者意識を持たなければなりません。

作りすぎを減らす為のSCM(サプライチェーンマネジメント)を利用した取り組みであったり、作りすぎたものをうまく活用していく取り組みも徐々に問題提起、そして認知され始め、

それらがテクノロジーの進化とともに解決できるケースも増えています。

例えば、販売需要の予測、生産業務の効率化、他にも様々な工程においてシステムが開発されています。

数々の問題があると言われるファッション業界ですが、そういったテクノロジーの特性を理解したうえ、自分たちの取り組みに落とし込むと言うことは、これからの時代、ファッションビジネスを行う事業者にとって義務とも言えるのではないでしょうか。

ただその一方で、やはりファッションである以上「テクノロジー」「エシカル」「サスティナブル」と言う様な表現だけが先行してしまう様な状況もあまり健全ではない様にも感じています。

それらの表現が全面に出ることがファッションから独立性を奪い、コモディティ化に繋がる可能性があると感じるからです。

ファッション業界の構造はそう簡単に変わるものではないかもしれませんが、ファッションという軸はブラさずとも、それぞれが少しの当事者意識、少しの取り組みによって積み重ねる事で必ず良い方向に向かうと私は思います。

しゅんたろう
About しゅんたろう 18 Articles
1986年生まれ。 マロニエファッションデザイン卒業後、OEM企業での企画営業を経てMARKSTYLER社に入社、営業/MDを経験後、新規ブランド開発部門にて部門長としてブランド開発を行う。 退職後、CLANE DESIGNの立ち上げに参画し、ブランドマネージャーとして従事 2017年より独立し、1Q86.LLCを設立。 アパレル企業を中心にマーケティング/営業代行、ブランドディレクションを受託。 2018年にはアパレル生産SaaSの[AYATORI]を運営するDeepValleyの創業にも参画し取締役に就任。

Twitter

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*