製造加工業者は「善良な弱者」ばかりではない

初めまして。南充浩と申します。このAYATORIで、今後、毎月1本くらい記事を書くことになります。

普段は自分のブログを書いています。

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さて、何を書こうかと思ったのですが、うにくまさんほどは別に「見て」ないし、ネット通販やウェブのことに関しては深地雅也さんほどには知見がないので、個人的に気になったニュースを解説したり、繊維業界で感じたことを書くことになると思います。どうぞよろしくお願いします。

今回は、繊維製品の製造加工業について思ったことを書いてみましょう。

紡績・撚糸・染色・織布・整理加工・裁断・縫製など繊維製品には数多くの製造加工業が存在します。そのほとんどはいわゆる「下請け」として受注生産しています。

下請けなので、立場が弱い場合が多く、以前から商品の未引き取りや未入金など、非合法な扱いを受けてきました。また、そこまでの違法性はないものの、物理的に無理な仕事を「来週までにお願い」なんていう押し付けは日常茶飯事です。

最近はSNSの発達でこの手の悪質なケースは告発されることが増えてきていて、それ自体は歓迎すべきことですが、果たして、これらの製造加工業者は単なる弱者なのだろうかと疑問を持つことが多々あります。

もちろん、この手の不法取引や押し付けに関しては弱者であり被害者であることは間違いないのですが、製造加工業者が発注主になった場合、受注先に対しては自分たちが受けたような仕打ちをすることが少なからず見受けられます。

例えば、ウェブへの対応が遅れているといわれている業種ですが、それでもウェブへの取り組みを始めている業者も少なくありません。しかし、その場合、得てしてウェブ業者に対しては、物理的な無理難題を吹っ掛ける場合が見受けられます。

もちろん、ウェブ業者と製造加工業者の育ってきた風土や人間関係は異なりますから、仕事の運び方やホウレンソウのやり方が違っていて、そこに対するお互いの無理解はあるでしょう。しかし、業者からの提案を何週間も前に受けていて、それに対して何の返事もせず、いきなり2~3日前くらいになって「どうして進めていないのか、あと3日で完全に仕上げて欲しい」などという無理難題を言うケースもあります。これなどは、まるっきり普段自分たちが大手ブランドからやられていることと同じです。

自分たちがやられて苦しんだことも、立場が変わると簡単にやってしまうとなると、人間性を疑わざるを得なくなります。

そして、製造加工業者の中にはそういう業者が少なからずあります。これらの業者は決して善良な弱者ではなく、そういういじめ気質でありながら、たまたま力が弱かったから、渋々大手に服従していたというだけのことでしょう。

製造加工業者を「善良な弱者」と見て、過度に肩入れする人がいますが、まったく賛同できません。あくまでも製造加工業はビジネスであり、そのビジネス姿勢が正しいかどうかのみで支持を判断すべきでしょう。

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