アパレルの製造に無知な人間が陥りやすい事例3選

「アパレル業界」

と一口に言いましても、「作る」分野と「売る」分野ではノウハウは大きく異なりますし、「作る」「売る」の中身も更に細分化されます。厄介なのは、各分野を横断して情報が共有されておらず、販売する側は製造に無知な場合が多いですし、その逆もまた然りです。

筆者は主に「売る」側の人間であり、過去携わったのは小売・卸の営業からECディレクション関連。製造に関してはズブズブの素人と言っても過言ではありません。こういう輩は如何に同じ社内に製造部門があろうと、興味関心を示す事がありませんので「グレーディング」とか「仕様書」とか言われましても「はて…?」とロッキード事件ばりに記憶に無い事請け合いです。(お前だけだ、というツッコミはご遠慮ください。)

そんな訳で(どんな訳だ)、今回はアパレルの製造分野に無知な人間が陥りやすい点についていくつかピックアップしていきたいと思います。

○素材・原料に関して無知

ざっくりとした素材名なら何となくわかるんですが、例えば「メリノウール」って聞いてちゃんと説明できません。ユニクロでもポップに掲載してますが、一般的な方々はウールの種類に無関心です。製造側の人からしたら驚きでしょう。かく言う筆者も、初めて「天竺」とか聞いた時には頭に浮かんだのは芸人の「天竺鼠」でした。こんなに酷いのは私だけでしょうか。。

自分のリテラシーを呪います。しかし筆者と同じ穴のムジナな皆様、ご安心ください。中綿とダウンを混同して書いてしまったり、2002年からあるソロテックスを「新素材」と言ってしまう某有名ブロガーもいらっしゃいます。希望を捨てずに勉強していきましょう。

○有名な産地について無知

どこが有名な産地なのかについてほとんど知識が無く、「ラグジュアリーも使っている生地の産地」と言われても全くピンと来ません。「クロキってあれな、元ロッテのピッチャーの!」とか言ってしまいそう。長田にシューズの産地があるだとか、姫路のレザーが有名だとかここ数年で初めて知りましたね、ええ。

地方創生とか地場産業の復興とかとは逆行する生き方。まさに非国民。AYATORIでも連載されております「うにくまは見た!」を読んで出直して参ります。これの延長で「ロット」についても無関心。生地が一反、50m単位で購入する事など知りませんからロットなど知る由もなく。発注する業務に携わらない限りは気にしませんよね…。(言い訳)

○技術について無知

有名な技術についても全く聞いた記憶がありません。ユニクロやZOZOが採用した「ホールガーメント」なんて「何?それ美味しいの?」レベルです。若い頃から繊研新聞やbeginあたりをしっかり読んでいたなら状況は変わったのかも知れません。グッドイヤーウェルト製法と聞いたらタイヤ工場を想起し、リンキングと聞いたらリンキンパークと勘違いします。嗚呼、人生やり直したい。筆者のような元営業マンのメイン業務である「バイヤーへのセールス」に必要な技術は金額面の交渉と商品フォローなので、こういった人材に育ちやすいという事もあります。

いくつか事例を挙げてみました。勘の良い人はお気づきでしょうが、これ筆者の過去の姿です。最近は製造分野に詳しい方々が周りに増えてきた事もあり、そこまで大きな勘違いは起こしていませんが、営業出身にしては頑張って勉強した方だと思います。売る側でも販売員さんは詳しい人が多いのですが、営業・ECはこういった事を知らない人が本当に多い。もちろん、逆パターンもよくあるお話です。同じ業界なのに共通言語が違い過ぎるのって、お仕事をする上では不都合が非常に多いので、双方が寄り添う努力がこれからも必要になるのではないでしょうか。

深地雅也
About 深地雅也 10 Articles
株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。

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