アパレル業界で働きたい人を増やすには

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こんにちはDeepValleyの増田です。

アパレル業界では人材が不足しているという話が頻繁に聞き受けられ、僕自身業界の人に会うたびに「誰か人いない?」なんて事を挨拶代わりに聞かれたりします。

こいつ採用コストって言葉知ってるのかな?なんて思うことは置いておいて、その一方では

「洋服が好きだからアパレル業界に興味がある」

「働いてみたいけど、アパレル業界って給料安いんでしょ?」

「アパレルって儲かるの?」

なんて声をよく他業種や、就職、転職を希望する学生たちからも聞くので、そこだけで考えると、需給が一致しているじゃないかとも思います。

それでも人材が不足しているのは、結果的にアパレル業界が選ばれていないからではないでしょうか。

労働環境が過酷で給料が安い。

アパレル業界は労働環境が過酷で給料も安い。

周知の事実になってしまっていますが、そもそもこういった問題は、僕が業界に入った10年程前からずっと言われていますが、一向に改善する様子がありません。

他業界に比べてアパレル業界はすごく村社会的な業界であり閉鎖的です。

その村の中でもSPA、セレクトショップ、ガールズマーケット、インポート、ドメスティックデザイナーズなどなどといった様な自分たちの販売・顧客セグメントによって、さらにコミュニティーが区分けされています。

そういった業界ですので、自分自身が身を置いているうちは他の業界からガラパゴス化してしまっている様にさえ感じます。

そんな区分けされたコミュニティーの中でも共通している事であり、冒頭の回答と同様にもなりますが、アパレル業界は労働環境が過酷で給料が安いというのは共通しています。

一部の大手企業や上場企業を除いて労働環境はお世辞にもいいとは言えません。
加えて福利厚生なんかも薄いです。

そんな環境なので、はっきり言って業界全体の離職率もとても高いし、そもそも目指す若者も少ないです。

それでも辞めない人の気持ちとしては、「やっぱり洋服が好きだから」「いつか自分もブランドを持ちたい」「テレビや雑誌・SNSで活躍したい」といった気持ちの人がほとんどです。

そうすると「いつかそうなれるのであればいいんじゃない?」「本人が納得して修行してる感じでしょ」といった考えの方もいらっしゃいます。

その通りです。

本人が納得して、会社も納得しているのであれば、外野が文句いう事ではありません。

問題なのは、そんな従業員の憧れを盾にして安月給でこき使っているという会社も少なくないということ。

アパレルにありがちなキャリアストーリー

少し自分のキャリアの話をさせてください。

僕はファッション系の専門学校を卒業して初めて新卒で入ったのは、大阪の小さなOEMメーカーでした。

当時、新卒として頂いていた給料は月に額面上で16万5千円。

手取りでいうと、13万円くらいだったと思います。

もちろんボーナスなんてなかったので、単純計算で年収160万円ぐらいです。

数百万というお金を払って学校を出してもらった果てにこの給料じゃ、今思えば親が可哀想ですよねw

その頃の就活の情報は学校へ来る求人案内とマイナビやリクナビの新卒イベントぐらいで、今の様にSNSなどもあまり浸透していない時代でした。

22歳そこらで世間知らずで、居酒屋や洋服の販売員のバイトしかした事がなかった僕には別に安い給料とは思わなかったし、洋服を作る仕事ができているだけで満足でした。

そもそも他の業界の給与とかも知らなかったですし、興味もなかったです。

まぁでも実家にいたから成り立っていた部分はあったし、生活ができているのかと言われれば、出来ていなかったです。

それで月に200時間とか働かされるからもうめちゃくちゃですよね。

もちろん残業代なんてつかない。

結局その会社には学生時代からのインターンを含めて、9ヶ月目ぐらいで耐えきれずに退職してしまいました。

次に入った会社では最初はアルバイト雇用だったのですが、時給900円ぐらいだったかな。

なんだかんだとそこも残業残業だったのですが、時給制だったので、月に20万円以上はもらえる様になりました。

そこから少し経って、正社員登用された時に提示された給料が月に額面上で25万円。

一年そこらで10万円近く上がってるんですから出世しましたね。

ただそこから5年間、一円も給料は上がりませんでした。

ボーナスも0.5〜1ヶ月分があったりなかったり。

ただ、そうして一心不乱に働いていた事もあり、徐々に仕事でも結果が出始めたその後に、社内でも役職をもらい、別の会社に誘われ、その後独立しても今はこうして自分で食べていくことが出来るようになりました。

僕の場合は最終的に独立でしたが、そのまま社内で出世したり、また他の会社にスカウトされたりと、業界で働く人の多くはタイミングに違いはあるでしょうが、大枠では同じ様なストーリーをなぞっていることかと思います。

そんな苦労ほんとにしなきゃいけないの?

自分で自分の事を振り返って書いていて、怒りを通り越して、少し悲しくなってきました。

この話の通り、僕も20台前半を結果的にファッションが「好き」とか「憧れ」だけで消耗しきってしまいました。

ただ、同じ様に我慢して頑張らなければいけないのか?というと決してそんな事はありません。

前述したような話は一重に情弱と言ってしまえばそれまでです。

自分の身の回りだけでなく、コミュニティーを広げるもしくは飛び出す、そして様々な知見を深める努力ができていれば、また状況は変わっていたかもしれません。

一方で、一度こう言った流れに身を置いてしまうと、日々のルーティン業務に終われ、次第に外部の情報を「インプットする」そして自分の周りや仕事へ「アウトプットする」という思考が停止してしまう人が多々いますし、僕自身もそうでした。

事の因果は繋がっているので、そうした経験がなければ今の自分は無いのかもしれません。

しかし、それが万人に当てはまる訳でもないので、客観的に見れば無知な若者捕まえて、自分たちの好きなように使ってるだけです。

なのでハッキリ言ってしまえば、こんな苦労なんてしなくていいし、する必要も無いです!!

そういう状況の改善策として、初任給の引き上げとインセティブで引き込もうとする会社もあります。

僕の経験からもあるように、初任給がたとえ高くても、その後5年も給料が上がらない、もしくはあまり給与が変わらないのなら、そんな企業に魅力はありません。
 

逆に初任給が少々低くても10年後、20年後に年収500万円、600万円とキャリアアップしていく画が見えるのなら、一般的にはその方がいいに決まっています。

アパレル企業の多くがそもそも、何の成果をあげれば、どのくらい昇給されるのかというシステムがはっきりしていない会社が多いです。

自分たちの不備を誤魔化す為に、苦労話を話して正当化しようとしているだけなので、そんな苦労はそもそもする事はないのです。

必要なのは業務の改善・効率化

今の時代は情報が溢れて、選択肢も多岐に渡ります。

「今の子達はファストファッションとかが好きで、そもそもファッションに興味がない」

「ゆとりだから堪え性がないんだよ」

と言ってる人がいますが、単純に業界の悪習や企業としての福利厚生の不備が見透かされているだけです。

いくらスタートアップ企業やベンチャー企業がもてはやされても、一般的な感覚だと、労働条件やキャリアプラン、有給休暇、退職金、年金といった様な福利厚生が整備されていなければ人はやってきません。

それに、それでもやりたいんだ!!という人が出てくる程のコンテンツパワーは、今の国内アパレルにはありません。

仮にあったっとしても、わざわざ下積みをして、安月給でも頑張って働くなんてことはしません。

大事なのは、根本の職場環境作りですが、とはいえいきなりそういった環境を整備することは容易ではありません。

その中でも、まず出来る事は、既存の業務の改善・最適化ではないでしょうか。

業務を改善させ、生産効率を高める事で、利益率の改善に寄与します。

利益率が改善されれば、それを従業員に還元する事ができますし、採用コストへ回す事もできます。

それに極論ではありますが、そういった改善できなければ、このまま緩やかに業界はしぼんで行くのではないでしょうか。

DeepValleyでは企画・生産のデジタル化、担当者間・取引先間のマネジメントツールとしてAYATORIを提供をしています。

AYATORIは煩雑な業務をシンプルにする事で、生産業務の改善を実現する事ができます。

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SHUN-TALOW
About SHUN-TALOW 45 Articles
FASHION PLANNER。 ファッションブランドや関連事業のプランニングをしてます。満33歳 ガニ股 協調性があり、わがままを言わない、自分に厳しく、将来設計がしっかり出来ていて、マイペースではなく優しくて今どき珍しく一途で理想的なAB型男性 マイブームは自分です

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