『感覚』を理由にサボる人

DeepValleyの深谷です。

今日はアパレル業界で良く使う『感覚』というものにフォーカスしたいです。

かん‐かく【感覚】

1 外界からの光・音・におい・味・寒温・触などの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識。視覚聴覚嗅覚(きゅうかく)味覚触覚や、温覚冷覚痛覚など。「寒さで指の感覚がなくなる」
2 美醜やよしあし、相違などを感じとる心の働き。センス。感受性。「日本人の感覚では理解しにくい」「感覚が鋭い」「新感覚のデザイン」
3 (他の名詞の下に付いて)
㋐それを感じ取る心の働き。「バランス感覚」「金銭感覚」
㋑そういう心構えや雰囲気。気分。「学生のアルバイト感覚でいられては困る」

引用:デジタル大辞泉

検索するとこのように出てきますが、今回私が言う感覚というのは、、、

『 これよりこっちが売れると思った理由はなんですか? 』

『 VMDってどういう風に組んでます?』

『 この枚数発注した経緯ってなんでしたっけ? 』

『 デザインをこっちに変更したのって? 』

こんな質問に回答する時に使われる『感覚』の話しです。

これってなんで◯◯なんですか?

私は質問をたくさん上司にしてしまうタイプの社員だったんですが、、、

良くあった回答が『感覚だよ感覚』って、、、

もともと理数系だった私には違和感の塊だったのです。

一番印象的だったのは転職したばかりのブランドで

卸営業の委託ECの営業を任せてもらい、やり始めた時期です。

ほぼ立ち上げだったので、卸の受注をめちゃくちゃ伸ばし、

予約販売でゴリゴリに売上をあげてたある日。。。。

『ちょまて在庫が足りねぇぞ・・・』

卸10点、EC予約55点、在庫配分しようとしたら残在庫50点

汗水垂らしてようやく受注取ってきた商品が送れない。。。

もちろんなんですが、MDに詰め寄りました

店舗の売上はわかるが、あんたの配分何考えてんだ!!と、、

(このブランドは人が少ないので配分はMDが兼務してました)

そこから激しい言い合いになってしまい

数値の設計や、予算の取る戦略について熱く語ってまして

深谷『そんな戦略やデータはどこにあるんすか!?』

上司『そんなん感覚だよ!!』

深谷『・・・(このブランドダメだ)・・・』

時は流れ気づけば自分がMDに

実はキャリアの中でMDが一番長いんですが

初めてMD業務に携わったのは23歳のことでした。

自信がなかったので、めちゃめちゃ計画立てて理論的なMDになりました。

定点観測を行い、数値化したり売上分析、競合分析などなど、、、

とはいえ初めての経験で発注や追加が怖かったし、外したらどうしよう。。。

とずっと不安と戦ってました。

数字は吐くほど見てましたし、計算してましたし、雑誌やECの調査を毎日してて

レポーティングでだいたい終電まで、朝から発注会議して市場調査して

どのブランドがどこにいくらの何が置いてあるか?など熟知してました。

(今思うとめちゃくちゃきつかった。。。)

そんな生活を9ヶ月くらいしてたある日のことでした

魔法が使えるようになりました

ある日いつもの通り市場調査をしていました。

(お。あのブランドの新作じゃん。売れそうだな。。。)

(多分17,000円だな。→正解)

(ってことは、この辺りに雑誌で見た新作がありそうだな。。。)

(あ、やっぱあったか。→正解)

(あ、あのブランドがこういうワンピース出してきたか)

(多分21,000円だな。→正解)

(てことは来週にこのブランドに似たワンピース15,000円で出そうだな)

ー翌週ー

(やっぱきたよね。15,000円だよね。。。→正解)

だんだん市場調査にかかる時間が短くなってきました。

これ本気の話しなんですど(今は衰えてますよ)

女の子とかと服見てるとき、だいたい当たるので怖がられますw

これが『感覚』か

この会社では多忙すぎて、ちょっと身体壊してしまったんですが

圧倒的な経験値と学習の積み重ねからでる高速の思考

これこそが『感覚』なんだなぁと痛感しました。

例えば15,000円のワンピースを予想できたのを言語化しようとすると

『今まで見てきた感じブランドAとBは似てるテイストだが、Aの方がいつも半歩早い展開をしている傾向にあるからBから似てるアイテム出そうだな、、この立ち位置展開ないし。自分だったら少し値段あげるだろうが、BはAの競合だし、21,000円だとしたら、通常は17,000円くらいだが、時期は実売期後半、館のフェアなどは終わったばかりだし、Bはワンピースの型数が多くその他のアイテムで売上が多く立ってる訳ではないから、このワンピースは売れ筋になる可能性が高い。その上で見せ筋は高く価格設定して、売れ筋を多く生産し、原価下げながらも安価の商材展開してくるブランドだから15,000円くらいかな?』

そもそも経験と学習を泥臭くやった人のみに宿る『感覚』という武器を

あたかもあるように見せて『感覚』という言葉で仕事をサボるのはよくないですね。

そんな人が多くなっているんじゃないかな?と思っていますし

本当に感覚だけでやってるブランドは再現性がなく勢いがなくなっていく

そんなブランドをいくつも見てきました。。

感覚を言い訳にしてサボるのをやめて、

泥臭く分解し考え科学する事をやって欲しいと思ってます。

深谷玲人
About 深谷玲人 33 Articles
株式会社DeepValley(ディープバレー) 代表取締役社長 深谷 玲人(Fukaya Reito)。 アパレル業界に10年経験があり、販売からMD、ブランド長まで経験したのち、ITベンチャー企業に転職し2年半、カスタマーサクセスとしてインサイドセールスのコンサルティングを実施、双方の経験を合わせ、アパレル業界に特化したIT企業として2018年5月に独立。アパレル生産特化システムの開発と、TokyoFashionTechnologyLabで講師を務める。

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