ご無沙汰しております〜
すっかり冬ですね・・・
モヘアのニットが喜ぶ季節です・・・
前回から少し間があいたのですが、完全に体感1週間くらいなのが本当にまずい。人間になるって大変・・・
さて今回は!
いよいよ、前回糸になったふわ&もこたちが布になっていきます。
まだ、服にはならないけれど、なんとなく知っている、なんとなく想像がつく、でもそれの本当の現場って・・・?
今回は和歌山の編みの現場をご紹介!
多くの人のクローゼットに一つはあるであろう、Tシャツやパーカー、最近流行りのサーマルに使われるワッフル生地など、皆さんの服はこんな風に作られて、手元に届くんだな、というのがちょっと見えてくると思います。
糸から生地への間にあるもの
先日やっと糸になったふわふわともこもこ。
これが、一巻きこんな形になって、生地を作る編み屋さんや機屋さんのもとに届きます。
編み場と言われる工場さんはこんな感じです。
以前、シャツ生地の謎でうにくまが見た!のは『織物』
今回は『編み物』です。
編み物というと毛糸玉を暖炉の前でおばあちゃんが編み編み・・・みたいなイメージかと思いますが、カットソーとなると話は違います。
ででーん!
右奥に見えてるのが編機です。
そして、これが編み糸!
おばあちゃんが編み編みする毛糸玉とはちがうんですね・・・
細い・・・
糸屋さんからコーンに巻かれて出荷されるわけだから、このまま工場で使われるのかな〜と思うのですが、工場で巻き直しをすることもあります。
9度巻き、6度巻きみたいに呼びますが、角度がついた方がいい理由はこれ。
糸のコーンは編機に対してこんな形で何本もかけられているんだけど、コーンの角度が垂直に近ければ近いほど、引っ張られる糸に負荷がかかる。
そうするとせっかく撚った糸の撚りが甘くなっちゃったり、毛羽がでやすくなったり、糸が少なくなってきたときにコーンの底の方に落ちて来やすくなっちゃうので角度をつけたコーンに巻き直すものもあるんだそう。(これは巻き直されてないと思われる)
そして、織糸や縫い糸とおなじように、編み糸にも番手があるよ。
うにくまポイント 糸の番手を身近に見れるのはデニム。普通にお裁縫するミシン糸が60番手とすると、デニムのステッチ糸は30番や20番を使ったりするよ。きれい目なものだと細めの番手でやったりすることもあるけど、お手持ちのものも見てみてね!
ただ編みで織りと少し違うのは、経糸(タテ糸)と緯糸(ヨコ糸)という組織構造ではないこと。まったくの別物!
編みにも種類がある。
たとえば、天竺(てんじく)、総針(そうばり)、リブ編み・・・
ええ〜!!!!!って感じですよね・・・わかります。。。
これだけ変数が多く複雑で、それぞれの製造工程が大きく違っているし、ニットにはニットの、カットソーにはカットソーの、布帛(ふはく)には布帛の用語があって、業界人すら頭を悩まながらもそれを覚えてこなしていくのは、表現できる風合いや求める機能性も、仕上がるものも異なるゆえ。編みは編みでも、肌着やTシャツにもとめるものと、冬に着るニットに求めるものは違う。経済的に考えても季節の主戦場も異なることからもそれをこなす方が合理的といえます。
つまりそれは消費者の要請に答えようとした結果ともいえて、そうである以上、簡単に「はい、やめ!なし!」とはならないんですね。
消費者から製造へのスイッチ障壁が低そうなアパレル。気軽に服作ろう!ってなったときに「めんどくさ〜」となってしまう1ポイントでもある。
糸から生地になる間にも、たくさんの分岐点があり、それを取捨選択されて生地に生まれ変わっていくんですね。
なんでこれが布になるんだろう・・・
でも正直、なんでこれが布になるのか、本当に意味がわからん。というのが編み機にたいするうにくまの本音で。
わからないってことではないんですが、この編機の中でなにが行われているか諳んじて、誰にでもわかるように説明できるかと言われると難しい。(つらい)
どこで心がおれそうになったかというと、
写真中間から下のグレーはもう布・・・
そう・・・布になってるんですよね・・・(遠い目
どういうことなんでしょうね・・・(目眩
内側に見える山状のこの針が糸をひっかけて動いて、編み組織を作っていくわけですが、この何千本もの針の出し方や使い方と、糸の種類、掛け方と本数などで、Tシャツ用になったり、ワッフル生地になったり、裏毛になったり・・・
するんだそうです・・・
この針、折れちゃうことももちろんあって、そうすると生地に穴ができたり、生地傷みたいにみえたりします。
一台に一人、人をつけるわけにもいかないし、他の編機に糸を掛けたり、メンテナンスしていたりで気がつかずにずっと編み立てていたら大変!
結構手がかかる子なんですね。
編み立てしたものは、検反といって、生地に問題がないか、傷がないかをチェック。多くの工場が人の目視で行っています。
そして出荷場から染屋さんや、生地屋さん、加工場さんに出荷されていきます。
編機と人の付き合い方
今回お邪魔した工場さん数軒でも、入り口の糸置き場、そして編機、検反場所、出荷場までの導線をはじめ、編機ひとつの使い方も異なっていて、面白い。
例えばさっきの編み機ひとつとっても、各工場さんで各々の工夫や、メンテナンスの度合いが違います。
よくカットソーの生地不良に「雨が降る」というワードが出ますが、これは編機の針の隙間に編み糸の繊維がほこりになって舞い落ちてしまうとよく生じます。
だからこそ、編機のメンテナンスはすご〜く大事・・・なんですが、
わたしたちは、綺麗な生地だけが出てきて当然。と思っているし、そうであればいいんだけど、綺麗な生地を編むために機械を分解する作業は結構途方もない。
うにくまは元来、請求書を正しく出せないで「うう〜・・・」となるほど細かい作業が苦手なので、絶対に無理。
パーツを外して外して、見えてくるのはこんな編機の中の、無数の針!
この編み機にかかっている針だけで1800本。
これを抜いて、全部はめ直す。
間違いなく、一本一本。
くまには・・・無理・・・・(遠い目
このオーバーホールをしっかり定期的に行っている工場さんの生地は、雨降りも少なくて綺麗ってことになるんですが
国内の工場は人件費や後継者問題も合まってそもそも常に人が多いことは稀です。なので他の作業と並行すると、この作業は2、3日かかるそうで、この工数をなかなか割けない工場さんも多いそうです。
こちらの工場さんはオーバーホールの作業写真を撮ってらっしゃって、この貴重な記事ををつくることができました。
オーバーホールの一手間をきちんとやること、服になるずっと前の生地を作る工場が市場で感じるクオリティの差を知ってか知らずか、こだわって編み立てていること。
手のかかる機械と向き合いながら、編み立てていること。
そういう人が背景にいると知るだけで、それを服にする身であるうにくまは身が引き締まる思いになるなあと思います。
生地不良のサンプルが上がってきたときに、受け取れないなとなることも多いですが、同じ「受け取れない」でも、戻すときにかける言葉も変わってきます。
「知る」っていうことは、誰かに少し優しくなれるってことかもしれないなあと考えるきっかけになったうにくまでした。
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うにくまのような、企画職が動く手前で、多くの人の運動量があることがどんどんわかっていって、仕事への向き合い方もぐっと変わる。
そんな経験ができたな〜と思います。
和歌山に、わたしたちの生活を支える工業地帯があるなんて、あんまり知られてませんよね。
太刀魚が美味しかったり、ラーメンが美味しかったり、実はリゾートもある和歌山。
実は大きな染工場もあります!
次回は私たちの目を楽しませてくれる、生地の色を司る「染め」について!
お楽しみに!
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