アパレル業界は販売から始めなきゃいけないの?

こんにちは、Deepvalley(ディープバレー)です。

筆者は非常勤ではありますが、服飾大学で授業をさせていただく機会があります。

つい先日も講義をさして頂いたのですが、ちょうど就職活動の時期(一般的には少し遅い気もするけど)というのもあってか、何人かの生徒さんから就職についての相談をされました。

『アパレル企業の場合、販売員からのスタートしか難しいでしょうか?』という質問だったのですが、これって学生さん達と話していると本当によくある質問で、結論から言ってしまうと、「絶対ではないけど、いきなり本社勤務は稀じゃないですかね」です。

実際に就活を行っていく中で、募集は総合職で出されていても、面接で販売員からお願いしますって言われたり、そもそも求人自体が販売員しかない事が多々ある様です。

さきほど最初から本社採用は稀って話をしましたが、それってどうなの?とは思うし、それが嫌ならアパレル業界は諦めなさい!というのは悲しいので、今日はその辺りについて僕ができるアドバイスを書いていきたいと思います。

そもそもなんでアパレル販売員からスタートさせたがる?

アパレル業界と聞いて思い浮かべる職業ってなんでしょうか?

ほとんどの人は販売員やデザイナー、プレスといった職業を想像するかと思います。

ファッション系の専門学校に通われていたり、業界知識のある方だと

MD(マーチャンダイザー)、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)、パタンナーとかも人気がありますね。

アパレル業界を希望する学生さん達に話を聞いてみると、ほとんどの方が先に挙げた職業、もしくは漠然と本社勤務が希望されています。

にも関わらず、実際にアパレル業界でそういった職業で本社勤務として新卒採用されているのはほんの一握りではないでしょうか。

僕が新卒の就職活動をしている時も同じ様な状況でしたが、アパレルメーカーから学校に届く求人表には様々な職種での募集が掲載されていました。

しかし、いざ就職活動をしましょうとなり、面接を受けていると面接官の方から

「まずは販売からスタートしてもらうってのはいかがでしょう?」

「販売員を経験してからのキャリアアップとして本社勤務となります」

「まずは」ってつけてるとこで、求人票も別に嘘ではないのかもしれませんが。

なんかおかしいですよね。

販売員からスタートさせることは、今となっては別に僕も反対ではありません。

店頭に立ち、接客をしていればお客様と直に関われます。

そうすることで、洋服の知識・お客様の動向・柔軟な提案力などなど、ファッションビジネスに必要な知識の基本は十分に身に付くと思うので、最初の配属としても最適です。

募集している母数が全然違う

学生さん達の希望とは真逆、販売職と本社勤務の募集の数は販売員が圧倒的に多いです。

なぜなら売上が何十億とあるようなそこそこの規模のブランドでもせいぜい本社勤務の人間は2,30名といったところです。

対して、その規模のブランドであれば、直営店が10〜20店舗近くお店があるでしょう。

各店舗に販売員が4名ずつでも80名。

この規模のブランドでこんな感じなので、もっと小さなブランドだとさらに少ないし、そもそも国内のアパレルブランドの規模はほとんどがこれ以下の規模です。

アパレル業界って人材不足と言われたりしてますけど、それは販売員が足りていないって事がほとんどです。

「でも事実、本社勤務も募集はしてるし、社内勤務者が退職したら人員は補充するでしょ?」

って思うでしょう。

もちろんその通りですが、新卒採用と同じ様に、中途採用も行っています。

前述したとおりそもそも少人数で業務を行っている事がほとんどですし、業務を教える環境もありません。

そうなると、何も知らない新人よりも中途の経験者を採用しようと人事なら考えますね。

そうしてポジションがまた埋まってしまいます。

販売員は大事なポジションだから

否定的な意見ばかり言ってしまっているので

「最初は販売員から始めるのがセオリーならしかたがない」

「販売員からでもいずれは本社勤務になれるんなら頑張ります。」

そういう風に考える真面目な方々もいると思います。

それでもまだ否定するのかよって思われるかもしれませんが、もし仮に本社に欠員が出たとしても、あなたの他にも販売員はたくさんいます。

その中で突き抜けて、本社の偉い人達から目に留まる様な結果を出し続けることができますか?

販売職だって専門職なので、その場しのぎで結果を残せるものではありませんし、そもそも結果を出し続ける様な事が出来るならあなたにとって販売員は天職だと思います。

さらに前述したとおり、人員の確保が難しい事に加えて、会社全体で考えても売上をあげてくれる販売員こそ現場から動かすわけがありません。

アパレルブランドにとって売上の大半をつくっているのは販売員です。

デザイナーがいくらかっこいい服を作っても、営業があぁだ、こぉだと言って走り回っていても、販売員が売ってくれなきゃ会社は一円の売上も立ちません。(ECとか卸はおいといて)

そんな大事なポジションから仕事ができる人間をわざわざ外す様な事は普通しないですね。

個人的にも販売をがんばれるような根性のある人は、どこに行っても成功すると思うので、新しいキャリアを積み始める方が成功する気がします。

だからこそ逆にプレゼンスを示せたところで、本社勤務への移動は難しいのかもしれません。

僕も自分がブランドを運営する立場だった時は絶対に動かさなかったです。

本社勤務は諦めろってわけではありません。

ここまで書いていて自分でも思いますが、会社都合極まりない感じです。

散々言ってきましたが「だから本社勤務は諦めて販売員を頑張りなさい」って事が言いたいわけではありませんし、もちろんキャリアパスを明確に設計している会社もあります。

ただやっぱり真面目に面接を受けて、運良く最初から本社勤務で採用されるのなんて一握りです。

じゃぁどうしろって言うんだ!って思われるので、いくつかの案をあげてみましょう。

①アシスタント(インターン)としてとにかく本社に潜り込む

ひとつめはアシスタントとしてでも、経理でも事務でもなんでもいいので、とにかくまずは本社勤務をするって方法です。

大きな企業はもちろん、小さなブランドでも探してみるとインターンの募集も結構行われていて、結果的にアシスタントの業務に携われます。

そしてインターンでも人気のブランドは競争率も高いですが、それ以外なら比較的簡単に採用されます。

給与が出る出ないと言った違いはあったりしますが、目的はとにかく業務に携わることです。

この様に目に止まる場所にいるって事がとても大事で、そこにいる事でちょっとしたチャンスが舞い込んできたりします。

事務から生産管理になる人もいたし、WEB担当から企画になった人もいたし、インターンからそのまま採用される事もよくあります。

②アパレルブランドではなくアパレルメーカーへ

アパレル業界と言っても何もブランドだけではありません。

一般消費者を顧客にするアパレルブランドではなく、アパレルブランドが販売する商品を製造するOEM企業やODM企業へ入社するという方法です。

アパレルブランドと比べるとパッと見の華やかさは低いですが、その分アパレルブランドよりもしっかりとしたモノ作りが学べたりもしますし、そもそも店舗がないので販売員として採用される事もありません。

ブランド側にとっても、デザイナーや生産管理といったポジションではモノ作りの知識は重宝されるので、OEM/ODM側からブランド側に転職してくる人も沢山います。

③SNSなどでフォロワーを獲得する。

SNSでのフォロワー数を持っている、中でもアパレル業界ではinstagramのフォロワー数を持っているというのは大きなアドバンテージになります。

ヤング向けのアパレルブランドではフォロワー数がインセンティブに反映される会社もありますし、SNS運用が上手かったり、ファロワーの多い人をブランドのSNSの運用スタッフやPRスタッフとして採用というのはどこのブランドでもよくあります。

学生のうちや、転職する前にフォロワーを増やせれば、逆にオファーされる事も普通にあったりします。

正攻法だけでは中々難しい

ここまで書いてきた通り、実際には中々新卒で本社勤務というのは難しいと思います。

一方で本社勤務する人達がその難関をくぐり抜けてきたのかと言われるとそうでもありません。

まったく別の他業種から転職してくる人もいるし、生え抜きの現場からの叩き上げもいますし、新卒で普通に入って来る子もいますし、なぜ採用されたのかわからないぐらいブランドにも服にも興味ない様な人もいたりします。

自分のやりたい職業につくためにはどうすればいいか?どう動く事が近道なのか?そんな風に考えて、ちょっと工夫してみれば意外と簡単だったりもします。

最後に基本的だけど大事だなってアドバイスをふたつ

①見た目はとにかく大事

今のご時世では時代遅れかもしれませんが、アパレル業界においては見た目ってすごく大事です。

容姿の問題でだけではなく、清潔感・センスだったり、見た目にばっかりこだわっているのはどうかとも思いますが、こだわらない人よりはマシです。

前述してメーカー側からブランド側に転職って話をしましたが、スキルや知識はあるのに見た目を理由に不採用になってる人も沢山いたぐらいです。

ブランドらしい着こなしだったり、清潔感のある着こなし、それぞれ主観的な部分はありますが、何よりもまずこだわりを持っている事は大事です。

②人付き合いも大事

ここまで話した事の元も子もなくなってしまいそうですが、アパレル業界のキャリアアップや採用って未だにリファーラル(紹介)がかなり多いです。

デザイナーさんいないかな?とか営業いないかな?とかは挨拶がわりじゃないかというぐらいよく聞きます。

でも逆を言えばリファーラル採用であれば意外と簡単に就職できちゃったりもします。

人と人との関係値の話なので一概には言えませんが、上手くいくポイントとしては、ただ知り合いを増やすと言うよりも、自分より年長者の方との知り合いを増やし、付き合いを深める方が確率が高いです。

アパレル業界って、なんだかんだ今も体育会系の雰囲気が強いので、仲良くなるととても面倒見がいい人が多いです。

以上、全ての方の参考になるかはわかりませんが、この文章がアドバイスとして就職(転職)活動の参考になれば幸いです。

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