新型コロナウィルスによる中国工場の操業停止は洋服製造の根幹に影響する可能性がある

こんにちは。随分とサボっていまして久しぶりの投稿となります。

中国の新型コロナウィルスはいまだに終息する気配が見えません。2月9日から操業を再開した工場もありますが、操業停止を延長した工場もあります。

縫製工場も停止していたり、まだ停止を続けていたりするため、2月後半から3月に店頭投入する商品が納期遅れすることはほぼ確実ではないかと思われます。商品どころか、3月に開催する展示会サンプルですら間に合うかどうかわからないため、3月展示会開催すら危ぶまれているブランドさえあります。

メディアでも商品の納期遅れは報じられていますが、このまま中国工場の操業停止が続くと商品どころか、糸や生地などもショートする可能性が高まり、チャイナリスクの根幹はその部分ではないかと思われます。

「縫製工場をベトナムやアセアン諸国に移転していたからセーフ」

なんていう楽観的な意見も見られますが、それは甘いと言わねばなりません。なぜなら、糸や生地を中国から持ち込んでいる場合がほとんどだからです。糸や生地がなければいくら縫製工場だけ無事でも縫うことはできません。お分かりでしょうか。

先日、某大手紡績関連会社の人と立ち話をしました。その人によると、すでに国内では綿糸の紡績はほとんど行われておらず、中国からの輸入になっていると言います。現に紡績の国内工場は年々減り続けています。それだけではなく、染料もほとんどが中国からの輸入に頼っており、国内の染色工場も染料の在庫がショートしてしまう可能性があるとのことで、結局、生地もひいては洋服も製造することができなくなります。

そのあたりのことを先日、自分のブログでまとめていますので良ければご参照ください。

さらにいうなら、我が国が誇る合成繊維の原糸もすでにほとんどが国内生産されていません。ほとんどが台湾などからの輸入に切り替わっており、海外の動向に合繊ですら左右されるというのが実態です。近年、有名ブランドとのコラボで名を馳せた帝人のソロテックスですら、原糸は台湾で生産されています。

当方はグローバル化礼賛者では決してありませんが、この状況を見ていると、生地だけを国内生産する必要があるのかという論調が生まれることは不思議ではないと感じます。

とは言っても、それでも国内生産で踏ん張りたいという工場はあります。ではどうすればその願いをかなえることができるのかを真剣に考えなくてはなりません。それは「伝統ガー」とか「モノヅクリガー」「安物は悪ダー」みたいな情緒性のみの主張では仕入れ業者も消費者も納得させることは難しいでしょう。

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