仕入れ販売による炎上騒ぎをみて思う

インスタグラマーによるセレクトショップ/ブランドが炎上しているのをSNSで度々見かける。

炎上騒動を事細かに追いかけているわけでもないし、たまたま見かけても騒ぎになるブランドの事も、インスタグラマーについても知らないことがほとんどだ。

なら放っておけよって自分でも思うが、僕自身インスタグラマー達が立ち上げるファッションブランドをいくつもお手伝いしている事もあり、つい一言言いたくなってしまう。

ファッション・アパレル業界でいえば、一昔前は本人がブランドを立ち上げるとか、提供を受けて宣伝するぐらいだったものの、この数年でインスタグラマーを起点にした様々な事業が展開されはじめた。少しは落ち着いたとも思うが、相変わらずインスタグラマーを起点としたビジネスは増え続け、比例して炎上するケースも増えている。

インスタグラマーがファッションブランドを立ち上げること

誤解されたくないが、インスタグラマーがファッションブランドを立ち上げることには、どちらかといえば肯定的だ。

本人が生み出した価値の正当な対価を得る方法としてファッションブランドを選んだということだろう。ファッションブランドを作り、自力でフォロワーを1から集めることは本当に大変だ。既に一定のフォロワーを抱えていれば、潜在顧客も見えやすいし、売り上げの見込みも立てやすい。本人が立ち上げなくとも、影響力を借りるだけでも、立ち上がりも早く信頼も得やすい。

大半のアパレル企業が苦戦する中、SNSや消費者とのコミュニケーションなどを巧みに駆使して、そういったブランドやサービスがが10〜20代の指示を得て急成長している。

そんなブランドやサービスで度々おこる炎上騒動。その内容のほとんどが「模倣」「仕入れ/無在庫販売」に対しての批判だ。どこどこで売ってる物と同じ、どこどこの方が安く売っている。そういう事例を発見し、晒されての炎上。

言うまでもないが、韓国や中国の市場などから仕入れ販売する形態など、アパレル企業では何十年も前から行われている。ただ昔と違うのはSNSが発達して情報が拡散されやすくなったのに加え、AliExpressやwithなど誰でも仕入れ及び、無在庫でも簡単にEC販売を始められるようになったことだろう。

それにより、同じ商品を取り扱うブランドも大量に出現した。今の消費者は本当い賢い。気に入った商品があれば、安く購入できる場所はないか、類似の商品がないかを当然のように検索する。

画像検索すれば、類似商品やまったく同じ商品が出てくる事もあるだろう。そうして露見し、SNSで拡散されて炎上していくのだと思う。

問題のないことにまで及ぶ批判

こうした炎上を見かける度に思う。ただ無在庫販売や仕入れ販売自体は何も悪いことではない。

無在庫販売は、受注をした後に仕入先に発注し在庫を確保。仕入先が在庫をしていれば、そのまま消費者へと出荷される(通常の配送と比べると時間はかかる。)在庫されていなければ仕入れ先は注文数が最小ロットに到達した時点で工場に生産を依頼する。すぐに生産が行われれば、許容の範囲の遅延で済むだろうが何ヶ月も受注も入らないこともあるだろう。そうして待たされた挙句にキャンセルになれば炎上してしまうのは仕方がないかもしれない。

とはいえ、販売先も仕入れ先だって不良在庫のコストを抑えたいし、それを抑えるから価格に転嫁させずに済みコストパフォーマンスが出せる。無在庫販売にだってもちろんメリットとデメリットはある。だから、別にそのようなリスクがあることを把握し消費者へと事前に案内をする。生産できなければ謝罪すればいいだけではないか。

それに自分たちでオリジナル商品を作っていたって、生地が届かず納期に間に合わなかったり、生産ラインが埋まりきっていて生産が遅れることもザラにある。

仕入れ販売に関してはいたって普通の販売形態だ。仕入れた商品をいくらで販売しようが家庭用品品質表示法に基づいた表示を行っていればなんの問題はない。

オリジナル商品を模倣しているのは論外だ。仕入れ販売の商品を自社生産やOEM生産/ ODM生産かのように謳いオリジナル商品と見せかけることもあり得ない。ただ、関係のない内容にまで批判が及ぶことはあまり見ていて気分のいいものではないなと思う

ただ運営が無責任なのが問題

もともとが見当違いな批判はあるものの、実際に批判されるようなこと、妙な言い訳をして火に油を注いでる事もよくある。その度に運営元があるのなら、危機管理やオペレーションを含めて対策をもってリードするべきだと周りの人間に対して不快感を覚える。

インスタグラマー自身だって、自分の責任範囲でないと思うかもしれないが、消費者は「ブランドの顔=責任者」と大抵は考えるのだから、もう少し慎重になるべきだ。

事業者もだが、わざわざなのか、たまたまなのか模倣商品を探して晒す、それをみた事業者が黙り込むのか、逆ギレするのか、そのやりとりがまた晒されてさらに炎上。側からみてるとホント地獄だ。晒すのも、逆ギレするのも、黙るのも、煽るのも、楽しむのも、全部含めてコントでもしてるのかと思う。

全てわかった上で行れているならタチも悪いが、無知なだけであれば、改善のしようはいくらでもある。それを熱心にたたいて何になると言うのだろう。

オリジナル商品を作っていたって、散々思考を重ねて作った商品が結果的に他社と似たクリエイティブになってしまい悔しい思いをしてしまうことだってある。それでも皆んな洋服が好きだから、プライドを持って思考錯誤を重ねて頑張っているのだ。

アパレル業界にもインスタグラマーブランドが増えて活性化された。その一方で、お金を持った文字通りファッション感覚に数打ちゃ当たると言った人間も増えた。

いくら参入障壁が低いと言ったって、何の知識や責任も負わずにサクッと稼ぐのはさすがにムリだろう。拝金主義でも何でもいいが、せめて洋服を扱う上での最低限の法的リテラシーは覚えるべきだ。

SHUN-TALOW
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FASHION PLANNER。 ファッションブランドや関連事業のプランニングをしてます。満33歳 ガニ股 協調性があり、わがままを言わない、自分に厳しく、将来設計がしっかり出来ていて、マイペースではなく優しくて今どき珍しく一途で理想的なAB型男性 マイブームは自分です

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